@article{oai:dwcla.repo.nii.ac.jp:00002164, author = {岸, ひとみ and KISHI, Hitomi}, journal = {同志社女子大学大学院文学研究科紀要, Papers in Language, Literature, and Culture : Graduate School of Literary Studies, Doshisha Women's College of Liberal Arts}, month = {Mar}, note = {application/pdf, AA11551704-20210331-L15, 光源氏亡き後、時代を担う主人公として、匂宮と薫が登場する。匂兵部卿巻の冒頭で、語り手が、光源氏の後を継ぐ者はおらず、匂宮と薫が「きよら」であるという評判を取っているが、共に「まばゆき際にはおはせざるべし」と記している。語り手は、薫には「きよらと見ゆるところもなき」とし、登場人物も薫を「きよげ」だと評している。同じく「まばゆき際」ではないとされた匂宮に対しては、薫と異なり、地の文で匂宮を「きよげ」だとする用例が一例あるものの、作中人物は一様に匂宮を「きよら」であると思っている。匂宮は「きよら」の人とされ、匂兵部卿巻の冒頭の記述と矛盾が生じているように読める。 そこで、匂宮を形容している「きよら」という語句を、匂兵部卿巻冒頭を起点として再考した。匂宮が「きよら」であるというのは、物語の人物が、それぞれ自分の主観でそのように見えた、相対的な美的表現であり、語り手の眼差しを離れて、作中の人物が薫を意識する中で、匂宮を「きよら」な人として作り上げていったものであると解したい。 匂宮に対して使用された「きよら」という美的語彙は、正編における「きよら」の絶対性を失い、そう形容する人々によって正編とは異なる論理を示している。}, pages = {15--31}, title = {『源氏物語』匂宮の「きよら」再考:匂兵部卿巻冒頭を起点として}, volume = {21}, year = {2021}, yomi = {キシ, ヒトミ} }