@article{oai:dwcla.repo.nii.ac.jp:00001645, author = {岸, ひとみ}, journal = {同志社女子大学日本語日本文学}, month = {Jun}, note = {application/pdf, AN10175460-20181010-113, 『源氏物語』柏木巻において、光源氏が不義の子を抱いて、『白氏文集』「自嘲」の一節を口ずさむ。それに続く心内文が、「この事の心知れる人、女房の中にもあらむかし」である。「事の心」は、真相・事情という意味で、従来から薫の出生の事情、柏木と女三の宮の密通を指すものとして、「事の心知る」は「心知る」と同じように解されてきた。本稿では「事の心」に着目することでさらに内包された意味があるのかを考察した。 その結果、「事の心」は深層を掘り起こしうる語句として、表層の意味に対峙する隠された意味を有するものであり、二つの意味は、「事の心」に続く動詞を媒介として相対していることが判明した。 この部分は源氏の心内文であるため︑表層と深層は︑源氏の見せかけた表面上の意識と内に封印した意識となり、深層にある「事の心」とは、女房が知らない真相であることから、源氏が薫の出生の真相を知っていることであるとの結論に至った。 源氏が真相を知っていることをわかっているのは女三の宮だけであるので、源氏は「事の心知れる人」として、心の奥底で女三の宮を意識し、自分の咎だけでなく女三の宮の咎にも思いが及び、「二つ言はむには、女の御ためこそいとほしけれ」に繋がった。表面では女房に意識が移ったように見えるが、実は朗詠前から︑女三の宮に対する意識が中断されることなく続いていることが明らかとなった。 「事の心」という二重的表現を持つ語句により、源氏は女三の宮の密通事件を封印し、意識は二重構造となることが示された。}, pages = {113--126}, title = {『源氏物語』柏木巻における「事の心」を読み解く}, volume = {30}, year = {2018}, yomi = {KISHI, Hitomi} }